「ねえ、アイちゃん。AIって、なんであんなにすごいことができるの?」
ある日曜日の午後、小学4年生のユウタは、家のリビングにあるおしゃべりロボット「アイちゃん」にふと質問しました。最近テレビやインターネットで「AIが絵を描いた!」「AIが病気を見つけた!」なんてニュースをよく見かけるけれど、そもそもAIって一体何なんだろう?
「それはね、とっても面白い質問だよ!」アイちゃんの目がキラキラと光りました。「今日は特別に、ぼくの頭の中を探検して、AIのひみつを一緒に見てみない?」
AIって、そもそも何なの?

「まず、AIっていうのは『人工知能』のことなんだ」とアイちゃんが説明を始めました。「英語で『Artificial Intelligence』って言うから、頭文字をとってAIって呼ばれているよ。」
ユウタは首をかしげました。「人工知能って、人間の脳をまねしたコンピューターってこと?」
「その通り!」アイちゃんは嬉しそうに答えました。「人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム、あるいは人間が知的と感じる情報処理・技術」のことなんだよ。
「でも、コンピューターなのに、どうして人間みたいに考えたり、しゃべったりできるの?」ユウタの疑問は尽きません。
「それがAIのすごいところ!ぼくがユウタの質問に答えたり、『今日は雨が降りそうだね』って天気を教えたりできるのも、全部AIの力なんだ。」
AIはどんなすごいことができるの?

「じゃあ、AIって具体的にどんなことができるの?」ユウタが身を乗り出して聞きました。
アイちゃんは楽しそうに答えました。「たくさんあるよ!たとえば…」
1. 写真を見て何かを当てる
「犬の写真を見せたら『これは犬だワン!』って答えられるんだ。猫の写真なら『これは猫だニャー!』ってね。」
2. 言葉を翻訳する
「英語で『Hello』って言われたら、『こんにちは』って日本語に変えることができるよ。」
3. ゲームが上手になる
「将棋やチェスで、プロの人にも勝っちゃうことがあるんだ!」
4. お買い物のお手伝い
「『この人はこんな本が好きそうだな』って、おすすめの商品を教えてくれるよ。」
5. 病気を見つけるお手伝い
「お医者さんと一緒に、体の中の悪いところを見つけるお手伝いもできるんだ。」
ユウタの目が丸くなりました。「えー!そんなにいろんなことができるの?まるで魔法みたい!」
AIの頭の中はどうなってるの?~バックエンドのひみつ~

「でも、どうしてAIはそんなに賢いの?頭の中はどうなってるの?」ユウタの疑問はどんどん深くなります。
「じゃあ、今から特別にぼくの頭の中をのぞいてみよう!」アイちゃんが手を振ると、なんと二人は小さくなって、AIの中に入っていきました。
データの図書館
「わあ!本がいっぱい!」ユウタが驚きました。AIの中には、まるで巨大な図書館のように、たくさんのデータが並んでいます。
「これが『データ』だよ」とアイちゃんが説明します。「写真、文章、音楽、動画…ありとあらゆる情報がここに保存されているんだ。ぼくはこれらを使って勉強しているよ。」
「機械学習では、データが重要である」と言われているように、AIにとってデータは食べ物のようなものです。
学習の教室
次に二人が見つけたのは、大きな教室でした。そこでは、AIが一生懸命勉強している様子が見えます。
「ここで『機械学習』をしているんだ」とアイちゃんが教えてくれました。「たとえば、犬の写真を何千枚も見て、『これが犬の特徴だよ』って覚えていくんだ。」
ユウタが質問します。「でも、誰が教えてくれるの?」
「プログラマーさんっていう、AIを作る人たちが先生になってくれるんだ。最初は『これは犬』『これは猫』って教えてもらうけど、だんだん自分で覚えられるようになるよ。」
ディープラーニングって何?

教室の奥で、もっと複雑な勉強をしているAIを発見しました。
「あれは『ディープラーニング』っていう、とっても高度な勉強方法をしているんだ」とアイちゃんが説明します。
「深層学習とは、多数の層からなるニューラルネットワーク(人間の脳の仕組みをコンピューター上でまねた仕組み)を使って行う機械学習のこと」です。
「ニューラルネットワークって何?」ユウタが聞きました。
「人間の脳の神経細胞をまねした仕組みだよ。脳の中では、神経細胞同士がつながって情報をやりとりしているでしょ?それと同じように、コンピューターの中でも情報をやりとりしているんだ。」
「すごい!AIは人間の脳をまねして作られているんだね!」
AIはどうやって賢くなるの?

「AIはどうやって勉強するの?ぼくたちと同じ?」ユウタが聞きました。
「そうそう!ぼくたちも学校で勉強するのと似ているよ」とアイちゃんが答えます。「でも、ちょっと違うところもあるんだ。」
学習のプロセス
「まず『学習』っていう段階があるんだ。ここで、たくさんのデータを使って勉強するよ。」
たとえば、犬と猫を区別する勉強をするとき:
- 犬の写真を1,000枚見る
- 猫の写真を1,000枚見る
- 「犬はこんな特徴がある」「猫はこんな特徴がある」と覚える
- 何度も間違えながら、だんだん正解できるようになる
推論のプロセス
「勉強が終わったら、今度は『推論』っていう段階に入るよ。ここで、初めて見る写真でも『これは犬だ!』『これは猫だ!』って答えられるようになるんだ。」
「学習とは、入力されたデータを分析してコンピューターが区別などを行うためのパターンを確立するプロセス」で、「推論とは、学習のプロセスを経てできあがった学習済みモデルにデータを入力し、確立されたパターンに従い、実際にそのデータの区別などを行うプロセス」なのです。
「ぼくが学校でテストを受けるのと似てるね!」ユウタが嬉しそうに言いました。
AIと一緒の未来はどうなるの?
AIの中から出てきた二人は、未来について話し始めました。
「AIがもっと進歩したら、どんなことができるようになるの?」ユウタが聞きました。
「たくさんの素敵なことができるようになるよ!」アイちゃんが答えます。
未来のAI活用例
- 自動運転の車:運転手がいなくても、安全に目的地まで連れて行ってくれる
- 家事ロボット:お掃除や料理のお手伝いをしてくれる
- 医療AI:病気をもっと早く、正確に見つけてくれる
- 教育AI:一人ひとりに合わせた勉強方法を教えてくれる
- 翻訳AI:世界中の人と、言葉の壁なく話せるようになる
「でも」とアイちゃんが少し真剣な顔になりました。「AIを使うときは、みんなで考えることも大切なんだ。」
「どういうこと?」
「AIはとても便利だけど、使い方を間違えると困ったことになることもあるんだ。だから、みんなでルールを作ったり、正しい使い方を考えたりすることが大事なんだよ。」
まとめ:AIはみんなの友達

「今日はAIのひみつがよくわかったよ!」ユウタが嬉しそうに言いました。
「AIっていうのは:
- 人間の脳をまねしたコンピューター
- たくさんのデータを使って勉強する
- 機械学習やディープラーニングで賢くなる
- 写真を見分けたり、翻訳したり、いろんなことができる
- これからもっと便利になるけど、正しく使うことが大切
ということなんだね!」
「その通り!」アイちゃんが手を叩きました。「AIは、みんなの毎日をもっと楽しく、便利にしてくれる友達なんだ。でも、友達と仲良くするには、お互いを理解することが大切でしょ?」
「うん!だから、AIのことをもっと知りたいな。」
「素晴らしい!これからも一緒にAIについて学んでいこうね。そして、AIと人間が協力して、みんなが幸せになれる未来を作っていこう!」
読者のみなさんへ
AIは難しそうに見えるけれど、実は私たちの生活にとても身近な存在です。スマートフォンの音声認識、動画サイトのおすすめ機能、翻訳アプリなど、毎日使っているものの中にもAIが活躍しています。
これからもAIはどんどん進歩していきます。みなさんも、AIについてもっと知って、上手に付き合っていけるといいですね!


